昨年から続いているショートヘアブーム。ショートヘア専門美容師が現れるなど、instagramなどでは賑わっています。本来はオールラウンドな技術やデザインの提供ができることが大事なのですが、いわゆる「特化型美容師」が急増していますね。
僕自身は「オールラウンド美容師」として育てていただいたお陰で、その中から自分が好きなジャンルを特化していく事もできますし、時代の変化に合わせて「これが得意です」的な事も可能な変幻自在型となっています。
肩まで伸ばした髪をバッサリカット。
年齢の公表も承諾いただいていますので、ざっくり60代の女性です。ヘアケア、頭皮ケアもしっかりと取り組んでいただいていますので、とても艶感ある髪質をキープしていただいています。
昨今のショートヘアの特徴は、毛先の質感がかなり柔らかく表現され、ヘアアイロンで形をつけ、オイルやバーム系でツヤっと仕上げるといった手法です。とても素敵に表現できるしinsta映えもします。ただマイナス面も存在します。
髪質が細い世代に毛先が柔らかすぎる質感や軽すぎる質感はNG要素
髪の健康状態も世代ごとに変化へんかします。そして各世代がどのようなヘアケアや頭皮ケアをされているかによっても結果が変わってきます。
世代が上がるにつれて必ずといってよいほど悩みとして声に聞くのは、「髪痩せ・頭皮痩せ」。
そう、しっかりとした髪の質感を求めているのです。
だから、髪質が細くなってきた世代に対してのヘアデザインで、「毛先が細すぎる」「軽すぎる」質感はNGなのです。
そして、細くなった髪質に対し高温のヘアアイロンは危険極まりない。だからこそ「ハンドブロー」で再現できるヘアデザインが必要なのです。
軽すぎず、重すぎず、肌馴染みの良い「重軽な質感」が必要です
毛先の柔らかな質感や軽い質感を表現するには、セニングシザーによる毛量調整やスライドカットによる意図的な削り感、レザーカットによるデザイン要素を強調した削り感。などが存在しますが、ここに挙げたテクニックはあくまでも「削ぐ技術」
「削ぐ技術」だけに頼りすぎてしまうと、軽くなりすぎる、髪のボーリューム感が減る、自宅での再現性が悪くなる、ヘアアイロンを使用しないとヘアセットできない。などといった状態になります。
重軽な質感を表現するには、ベースカットで作る毛先の重なりが重要です
美容師がカットをする際に、
- ベースカット
- 毛量調整
- 質感カット
の3つの工程に大きく別れます。そしてどの工程の重要度が高いかは、髪質や求めるヘアスタイルによって変化します。
60代、細毛、手軽さなどのワードがあれば、一番重要視するべきは間違いなく「ベースカット」の構造です。毛量調整や、質感カットに頼ったその日だけの仕上がりを目指すと、自宅での再現性や、ヘアケア、頭皮ケアで実現している髪の健康度を損ねてしまいます。
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骨格に対して「グラデーションを入れるのか」「レイヤーを入れるのか」「ディスコネクトさせるのか」「リフトアップの位置を左右で数センチ変えるのか」などベースカットほど奥深い技術はありません。
ベースカットが骨格に対し適切にできていれば、毛量調整や質感カットは最小限ですみます。結果的に、美容室と、自宅での仕上がりの差も生じなくなり、「60代の大人綺麗」を実現します。
幅広い世代が様々な価値観で生きている日本社会。ヘアカットもよりパーソナルな提案と技術力が必要とされますね。